妄想に耽る。

 スタンプラリーの移動中、ずっと妄想に耽っていた。

 私は中学、高校と陸上部に所属し、短距離走者をやっていた。高2、3の時には一応関東大会にも出ている。

 しかし、高校は実家から一番近いところを選び、その高校の陸上部の実力など知らずにいたので、入部してからの練習メニュー、組織もいい加減だった。

 妄想の中で私は、陸上部の強い高校へ進み、ハードなトレーニングに汗を流し、見事インターハイに出場、100m、200m、400mリレー、1600mリレーで上位進出を果たす。すると、強豪大学から誘いの声がかかる…

 大学に進学し、今度はインカレで大活躍。ユニバーシアードで金メダルを獲得する。卒業後は、もちろん複数の実業団からオファーが届き、悩んだ末にスポーツメーカーへ就職する。

 そして2003年の日本選手権。100mの決勝で、ついに私は日本人初の9秒台スプリンターとなり、スポーツ紙の1面を飾るのである。それを見ながら、「恥ずかしいなぁ」とボヤきながらも、顔がニヤついている。

 翌年のアテネ五輪では、これまた日本人初の100mファイナリストへ。惜しくもメダルは逃すが、400mリレーでは奇跡の銅メダル。アンカーの私はゴール後に泣き崩れるのである。

 
 …4年前もポルトガルで同じような妄想をしていたような。。。やっぱり、オリンピックっていいなぁ。