8冊目:編集者という病い。

 この書は、物書きを目指した時から絶対読みたかった。書店で文庫化されているのを見て、ついに手に取った。

 著者の見城徹氏が幻冬社を設立したことにまず驚き。まだ50ページくらいしか読んでいないが、すでに壮絶である。

そもそも編集者というのは、「無から有を作り出す。人の精神という無形の目に見えないものから本という商品を作り出し、そこから収益を上げる」というじつにいかがわしい仕事をしています。それを誠実な営みとして成立させるためには、編集者の生き様が厳しく問われるとずっと思ってきました。(本文より)
安全な港でなく、悲惨の港を目指す、その悲惨が黄金に変わる瞬間、その誕生の場に立ち会うことが僕にとって何ものにも代えられないエクスタシーなのです。(同)

 ストイック。「本物」はやはりこうあるものなのだな、と痛感させられた。僕は編集というよりは書く側だが、編集者がこういう姿勢であるならば、書き手も同様の姿勢で取り組まなければならないだろう。

 そして、尾崎豊というアーティスト。僕は大して詳しくないが、彼はとてつもなく繊細で、臆病で、獰猛であったのだと知り、彼の小説を担当した見城氏の精神・身体的タフネスは凄いと思う。僕には耐えられないだろう。

 どんどん、読み進めていきたい。

編集者という病い (集英社文庫)

編集者という病い (集英社文庫)