2010年の書評⑪「サッカースカウティングレポート」

 ワールドカップが近づき、この手の本が書店にたくさん並ぶようになってきた。僕がこれを手に取ったのは、著者がまさに大舞台の現場で闘っていたということが大きかった。
 タイトル通り、サッカーにおけるスカウティング、そして試合を「観る眼」を養うためのポイントを、アトランタ五輪やフランスワールドカップなど実際に行われた試合を織り交ぜて解説しているため、非常にわかり易い。
 でも、著者が最も伝えたかったことは、エピローグにあると思う。子どもの頃から試合で勝つことだけを追い求め、将来性を潰してしまうのでは、日本サッカーはダメになる。スカウティングとは、試合に勝つことではなく、選手を気持ちよく、堂々とピッチに送り出すことが目的なのだから。

 いつになるかは分からないが、自分がフリーの物書きになり、サッカーのことを書くときに、この本が一助になってくれると信じている。(5月29日読了)

サッカースカウティングレポート 超一流の分析

サッカースカウティングレポート 超一流の分析