国会乱闘はメディアもグルのヤラセ!? 杉村太蔵氏が発言。

 今日は朝から電車を乗り過ごしてしまい、イヤな1日になりそうな予感がプンプンしている。

 さて、タイトルの記事である。意外に知らなかった自分は、ホントにものを知らない男だなぁと思った。

 ゴールデンウイークの中日である5月4日。深夜のバラエティ番組で小泉チルドレンの元衆議院議員杉村太蔵氏が爆弾発言をしていた。「議員生活4年の任期の中で、一番びっくりしたこと」という出来事が、国会の中継で良く見かける強行裁決時の与野党入り乱れる乱闘風景なのだという。それは、メディアもグルになった「ヤラセ」だというのだ。

1.誰がマイクを奪い、誰がガードに入るかという役割が決定されている
2.強行採決の時間は、アナウンスなどで事前通告されている
3.マスコミ各社のカメラはすでにスタンバイされている
4.良い絵が撮れたのを見計らって「終了」のアナウンスが流れる
5.そして、乱闘していた与野党の議員が「ハイ、ちゃんちゃん。お疲れさまぁ」と散会する

 学芸会並みの先生方の下手な芝居に対して……以前からWikipediaなどでは「与野党が対立する法案にあって、どうしても妥協点が見出せない場合、ギリギリの落としどころとして、強行採決が選択される。与党は法案を可決させるという“実”を取り、野党側は『体を張ってこの法案を阻止しようとした』という姿を国民にアピールする“名”を取る。その意味では、与党が野党の顔を立てたものとも言える」と、その実態が暴かれていた。

 日本の国会の強行採決は、多くの場合は事前に与党側から野党側やマスメディアへ通告されることが慣例となっている。抜き打ちではないため、純粋な意味での強行採決ではなく、議員のパフォーマンスなのである。その実態を、元衆議院議員の口から、マスメディアを通して世間にお披露目されたこと自体に、日本の政治のたがが外れてきたことを感じる。

 戦後、自民党が築いた55年体制の中で、唯一野党がマスコミに担がれる舞台が「強行採決の茶番」なのだ。政権交代のなかった国対政治の中での必要不可欠な日本的慣習だったのだ。その実態が、政権交代とともに、こうしてマスコミからも暴かれていく。それも、東日本大震災で浮き足立つ中で、自民党のおとがめも強制もない元衆議院議員の口から……。

 国会中継ではいつも、官僚の作った原稿を議員が読み上げるだけの映像が流れる。必死に答弁をしているかと思えば、それは実はあらかじめ決められた質問であり、答えである。与野党激突の唯一の見せ場である「強行採決」自体も、やらせである。ハイ、ちゃんちゃんである。あまりにも、バカらしいっ。

 元総理大臣・小泉純一郎氏は、「自民党をぶっ壊す」と言った。そのチルドレンである杉村太蔵氏のこの暴露は、国対政治劇場政治になっていたことの終演を告げる。自民党がぶっ壊れるとともに、こういう茶番にも、終止符が打たれて良い。その終止符を、小泉チルドレンが打つと想定していたとしたら、やっぱり恐るべし小泉純一郎である。
メディアは環境変化に対応できているか
 杉村太蔵氏の出演した番組は、毎日放送5月4日23時50分から放映の「20マウス」というバラエティ。新聞のテレビ欄にもご丁寧に、「杉村太蔵が爆弾発言!『国会乱闘はヤラセです。一同騒然』」と明記してある。毎日放送に、深い意図はあるのか……。これって自分たちも与野党とグルで情報操作をしていたことを認めたということだ。今後、毎日放送は「強行採決」のニュース映像を、真顔で伝えることはできないだろう。もしも、いけしゃーしゃーと「国会乱闘」ニュースを流すのだとしたら、あまりに視聴者をバカにした話である。

 インターネットの出現以降、メディアのあり方は大きく変わってきた。受け手側である国民のメディアリテラシーも高まった。政治よりも、何千倍も、何万倍も早いスピードで、情報環境が変わってきている。その「時間」に誰も適応できてはいない。

 下手な先生方の茶番でも、優れたドラマでも、作り物は作り物。それは、「過去」をつなげた結果の産物である。どうしても「時間」を要する。そのタイムラグに、ストレスがある。その「時間のズレ」に対するセンスのあるなしが、東日本大震災以降のメディアの存亡の鍵を握る。

 過去の例をなぞった茶番などいらない。マスコミが今後も「国会乱闘」を真顔でニュースにしていたら……そのメディアには、そろそろ見切りをつけた方がいいかもしれない。

 東日本大震災という有事を経験した国民が信じるのは、下手なドラマではない。ドキュメンタリーである。今日の続きの未来である。(中村修治)

 ホントに、何を信じればよいのか、分からなくなってしまう。現代人に最も必要な力とは、情報の取捨選択能力であると、改めて思わされた。