2011年の3冊目「苦役列車」

 私はほとんど小説は読まないのだが、芥川賞受賞作で、さらに私が目指すジャンルに近い私小説、著者の経歴が破天荒である点に興味が惹かれ、全文が掲載されているという文藝春秋を買って読んだ(だから3冊目というか、3作品目というか…)。

 こういう作品こそ、私が目指す形なんじゃないかと思い、3日くらいで読み切ってしまった(生き方は主人公の貫多を目指してはいない)。今の私も生活は結構苦しいが、(失礼だが)下には下がいると思うと、なんか救われた気分になる。

 しかし、著者は本当に中卒なんだろうか?とてつもなく難しい言葉を巧みに操り、私は辞書を引き引きでなければ読めなかった。文体は昭和っぽく、新鮮さは無かったが、リアルな情景描写で、キツい日雇い労働現場の雰囲気や貫多の屈折した精神がすごくよく伝わってきた。

 なんだか、すごく刺激を受けた。私も頑張らないと…。

苦役列車

苦役列車

文藝春秋 2011年 03月号 [雑誌]

文藝春秋 2011年 03月号 [雑誌]